20230816_読んだものとか

・日記

貴志祐介悪の教典』を読んだ。自分がこの手のジャンルをほぼ読んだことがなかったのもあるが、今年一番の読書体験かもしれない……。あまりにも理解の及ばないハスミンこと蓮実聖司の凶行がなぜかカタルシスを生む。ハスミンがナチュラルに自身を正当化していく思考を覗けるのは文章だからこそで、次は一体何をしてくるのかと続きが気になるのはもちろん、この狂人の考えはどうなってるんだという怖いもの見たさもあり、上下それぞれ450pくらいある文庫本二冊を一気に読破してしまった。ハスミンがブレないのが気持ち良く感じたし、安原に手をかける時に一瞬躊躇いを見せるのもそんな彼のキャラクターに奥行きを作っていたように思う。めちゃくちゃ面白かった。

 

そういう興奮があるうちに、面白くないな〜と思って止めていた詠井晴佳『いつか憧れたキャラクターは現在使われておりません。』を読み終えた。最後斜め読みなのでざっくりですが。主役二人のバックボーンがふんわりしすぎて葛藤に実感が湧かなさすぎるのが、葛藤をテーマに掲げる小説として致命的だなと思った。あと心情が二転三転するのもそんなにコロコロ変わる?という感触で、振れ幅が極端な割にそこに納得できるエクスキューズを作れてないなと思う。それっぽい会話とそれっぽい描写で誤魔化してるな〜という感想。ラノベの言葉をこねくり回して描く〝それっぽさ〟自体は好きなのですがこの作品はそれに頼りすぎな感じがした。

こういうエモ狙い系のライトノベルにはもう期待しても仕方ないのかもなあと思い始めている。流石に自分も対象から外れてきた感じもするし。でもいつか令和の『とらドラ!』に出会いたい気持ちはやはりある。

 

重松清の『みんなのうた』も三分の二くらい読んだので(これも面白い)、読み終えたら次は綾辻行人の『十角館の殺人』を読もうと思います。あと竹宮ゆゆこ『心臓の王国』。

 

アークナイツは「画中人」を読み終えて「将進酒」を読み進めています。「画中人」はすごい異色な感じしましたね。それに比べると、ある物を巡って複数の思惑が交錯する「将進酒」はいつものアークナイツを読んでいる安心感がある(ドクターもアーミヤも出てきてないことにもはや疑問を抱くこともなく、もうすっかりアークナイツのスケールの大きさに飼い慣らされている)。まだ読み終えてないので、ニンとリャンの関係にそわそわしながら続きも読みます。