UNISON SQUARE GARDEN『Catcher In The Spy』

気付いたらUNISON SQUARE GARDENの9thアルバム『Ninth Peel』発売まで約10日になっていました。前回から少し期間が空いてしまいましたが、新作リリース記念の過去作レビューの続きです。今回は5thアルバム『Catcher In The Spy』について。

 

UNISON SQUARE GARDEN『Catcher In The Spy

リリース:2014/8/27

 

何よりもまず感じるのはアグレッシブさ。ギターを主軸に据えた楽曲が並ぶ本作は「俺たちギターロックバンドですから」という意地が迸っている。ライブでもたびたび演奏されるキラーチューン「天国と地獄」がリードトラックとなっているのはその最たる表れと言えそうです。

その一方でセルフプロデュースにも余念がない。《あのね歌詞書いたの僕じゃないんで 田淵に言っておいて》(M4-蒙昧termination)というメンバーの役割を逆手に取った歌詞を書いたり、「instant EGOIST」では過去の楽曲のフレーズを引用したり(それも「23:25」という曲名への明らかなヒントだ)、最初と最後の曲をアルバムタイトルのもじりで統一したり。UNISON SQUARE GARDENというバンドがどう受け取られているのか/どう受け取ってほしいのかという視点に徹底的にこだわるそのスタンスは、バンドのメインコンポーザーである田淵智也が今もたびたび口にする「ロックバンド」へのロマン、あるいは偏執的とも言える拘りによるもの。

「我々やっぱギターロックが好きでござい」という衝動の裏にある、バンドの現在地を俯瞰して次の一手を繰り出すクレバーさ。2023年までのUNISON SQUARE GARDENの活動の軌跡を見れば、その仕掛けが確実に成功しているのは言うまでもないことでしょう。

そんなギターロック/ロックバンドへの理想と拘りで作られた本作ですが、「instant EGOIST」で弾けるポップセンスや斎藤宏介の伸びやかな歌が光る「黄昏インザスパイ」など、楽曲の幅広さもストロングポイントの一つ。やはり器用なバンドです。